鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「う、嘘……私、褒められてる……?」
「君は今のを聞いて、けなされていると思うのか?」
「い、いえ! でも、部長から褒められるなんて、夢にも思っていなかったので……」
「出来がよければ、褒めるに決まっているだろ。私は正当に評価を下す」
「部長……!」

 まさかあの鬼上司に認められる日が来ようとは。梢は感極まって瞳を潤ませる。

「実はな、この企画だけは商品化に値すると踏んでいるんだ」
「えっ!?」
「企画部と共同にはなるが、牧野にも関わってもらいながら、商品化に向けて動くつもりだ。春頃に始動する予定だから、そのつもりでいてくれ」
「は、はい! 頑張ります!」

 心なしか孝仁の表情が柔らかく見える。あの日のようにはっきりと笑ってくれているわけではないが、梢を応援してくれているのは雰囲気から伝わってきて、とても胸が温かくなった。

「では、ほかの企画についてもフィードバックしていこう」

 残りの企画についても、一つ一つ丁寧にフィードバックしてもらう。やはりすべてが高評価ということはなく、厳しい指摘を受ける部分もあったが、それはすべて納得のいくものだった。

「――以上だ」
「やっぱり、まだまだですね。製造工程のことは部長に指摘されるまで、考えられていませんでした」
「その点に関しては、経験がないのだからしかたない。それに、製造工程を意識するのも善し悪しだ。あまり意識しすぎるとアイデアを狭めてしまうからな。企画部ならそうも言っていられないが、牧野はこのままでいい。その方が自由な発想ができる」
「わかりました。でも、頭の片隅には置いておきます」
「それでいい」

 梢はあくまでもマーケティング部の人間だ。その立場を理解した上での助言はとてもありがたかった。
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