鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「さて、期待以上の成果を見せてもらったからには約束は守らないといけないな」
「約束……ですか?」

 約束についてまったく記憶にない梢は首を傾げる。

 それを見た孝仁は心底呆れたという顔をしている。

「まったく、君が言ったんだろう」
「え……? えーと、すみません……なにを言ったんでしたっけ?」
「これだ。好きに見なさい」

 スッと目の前にスマホが置かれる。なにを見るのだと不思議に思いながら画面を覗き込めば、そこにはうさぎの写真が表示されていた。

「あっ! うさぎの写真! えっ、本当に見ていいんですか?」
「いいから見せている」
「ありがとうございます!」

 うさぎの写真のことなどすっかり忘れていたが、実際にこうして見てみると、これは実に素晴らしい報酬だ。どのショットのうさぎもとてもかわいくて、自然と心が癒されていく。

「かわいい! ふふふ、これなんて丸々して、お餅みたい。こっちはもぐもぐしてる。どうしよう、全部かわいい」
「当たり前だ。うちのスイにかわいくないところなどない」

 ぎょっとして視線をスマホから孝仁へと移す。

(ぶ、部長が親バカ発言してる……! 言ってることは間違ってないけども!)

 どんな顔をして言っているのかと思えば、孝仁の表情はいつも通り。台詞と表情のミスマッチで脳がバグってしまいそうだ。

 これ以上孝仁を見ていても混乱するだけだと、また写真に視線を戻す。そこにはやはりとてもかわいいうさぎが写っていて、梢はいつの間にやら孝仁の存在も忘れて、写真に見入っていた。
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