座敷牢令嬢は今日も謎を解く
その拍子に鼻の頭に墨がついてしまっている。
キヨはボロの切れ端でその墨を拭ってやってから、トミの大作へ視線を向けた。
白い半紙の真ん中に大きな丸がひとつ。

その中に目のようなものと口のようなものと鼻のようなものが書かれている。
『のようなもの』としか表現できないそれらにキヨはまばたきを繰り返す。
ちなみに髪の毛は書かれていない。

「トミ、これは誰?」
「なに言ってるんですか、キヨ様に決まっているじゃあないですか!」
自信満々に答えるトミの目は星空のように輝いている。
キヨは一瞬メマイを覚えたけれどどうにか耐えて自分の絵を物悲しく見つめた。
トミがあまりに張り切っているから期待していたのに。
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