水魔法をまっすぐにしか飛ばせない落ちこぼれ令嬢ですが、意外とお役に立てそうです
「気づかれました!? よかったあ……!」
慌てて涙を拭って声の方を見ると、見覚えのないメイドが立っていた。親しげな微笑みを浮かべている。
怖い人じゃないみたい、とナディナはほっと胸を撫でおろした。
「あの、ここは一体……?」
「ここは、クロノヴィエ侯爵様のお屋敷です」
「えっ!」
「今、旦那様をお呼びして参りますので少々お待ちくださいね!」
「えっ、あの……」
メイドが小走りで部屋を出ていく。口を挟む余地はなかった。
クロノヴィエ侯爵。
考古学に夢中で、社交界では変人扱いされている有名人。
話したことのある令嬢は誰もが「延々と古代遺跡の話をされて疲れた」と口を揃えて言うほどだという。実際、侯爵に興味を持っていた姉もまともに相手されず「きっと女性に興味がないんだわ」と愚痴っていた。
姉の顔と声を思い出してしまって顔をしかめていると、ノックの音が聞こえてきた。
扉が開かれる。そこには気難しそうな顔付きの男性が立っていた。執事を伴い、足早に歩み寄ってくる。
濃茶の髪はぼさぼさで、いかにも研究に没頭している人という印象だ。
金色の目は感情が読めず、緊張せずにはいられない。
そこでナディナは自分が寝たままだったことに気付くと、慌てて起き上がろうとした。
すぐさま手を差し出されて動きを制される。
「目覚めて何よりだ。詳しい話は回復してから聞くから、まずはゆっくり休みなさい」
慌てて涙を拭って声の方を見ると、見覚えのないメイドが立っていた。親しげな微笑みを浮かべている。
怖い人じゃないみたい、とナディナはほっと胸を撫でおろした。
「あの、ここは一体……?」
「ここは、クロノヴィエ侯爵様のお屋敷です」
「えっ!」
「今、旦那様をお呼びして参りますので少々お待ちくださいね!」
「えっ、あの……」
メイドが小走りで部屋を出ていく。口を挟む余地はなかった。
クロノヴィエ侯爵。
考古学に夢中で、社交界では変人扱いされている有名人。
話したことのある令嬢は誰もが「延々と古代遺跡の話をされて疲れた」と口を揃えて言うほどだという。実際、侯爵に興味を持っていた姉もまともに相手されず「きっと女性に興味がないんだわ」と愚痴っていた。
姉の顔と声を思い出してしまって顔をしかめていると、ノックの音が聞こえてきた。
扉が開かれる。そこには気難しそうな顔付きの男性が立っていた。執事を伴い、足早に歩み寄ってくる。
濃茶の髪はぼさぼさで、いかにも研究に没頭している人という印象だ。
金色の目は感情が読めず、緊張せずにはいられない。
そこでナディナは自分が寝たままだったことに気付くと、慌てて起き上がろうとした。
すぐさま手を差し出されて動きを制される。
「目覚めて何よりだ。詳しい話は回復してから聞くから、まずはゆっくり休みなさい」