運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
 その言葉は強く聞こえるが、なぜか瞳が揺れている気がして、私はただ小さくうなずいた。
 
 今日、再会してから彼の表情は変わることはなかったが、今はあの夜、心配をしてくれた彼を思い出す。
 
 もしも、気づいているのなら、理由があったとはいえ、無断で連絡もせず約束を破った私に、いい印象を持っているはずがない。どうして来なかったんだ? そう聞かれないことは、もはや彼にとって過去のことで、思い出す価値もないのかもしれない。
 でも、彼ならば信用できる。そんな確信があった。彼ならば結菜を絶対に悪いようにはしない。そんな人だから好きだったのだ。
 
 そのとき、「さあ、眠って」と武藤先生の声が聞こえた。
 そうだ、今は早く治して結菜のもとに戻ることが先決。そう自分に言い聞かせながら、私は静かに目を閉じた。
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