運命の恋をした御曹司は、永遠にママと娘を愛し続ける
「パパ、あのおはな、なーに?」
「赤い花? なんだろうな?」

 結菜は当たり前のように、優希くんをパパと呼び、優希くんも結奈を呼び捨てにするようになった。
結菜をはさんで手をつないで、三人で買い物に行くのも日課になりつつある。ふたりのほほえましい会話を聞きつつ、「あれはね」そう言いかけたところだった。 

「優希様、会長がお呼びです」
 振り返った先にいたのは、ブラックスーツをびしりと着こなし、手には革の手袋をはめた四十代後半の男性。姿勢正しく立ち、私たちに深々と頭を下げていた。

「今か?」
 優希くんが短く問い返した瞬間、男の顔にわずかな緊張が走る。その光景を目にして、私は悟った。この人物は朝倉家の使いなのだと。
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