嗚呼、愛しの婚約者様
「エレオノーラ様がお可哀想だとは思わないのかしら」
彼女に聞こえるようあからさまに嫌味を言う女生徒達は、もう完全に私の味方と化していた。思惑通り動いてくれる単純な彼らは実に愛おしい。
友人も出来ず、日に日に元気を無くしていくあの女が本当に無様で、私は気分が良かった。
けれど、マティアス様だけは思い通りにいかなかった。彼は、平民に愛する婚約者の心を奪われ悲しみに暮れる私に、普通の顔をして申し入れたのだ。
「エレオノーラ、君から生徒達に誤解だと伝えてはくれないだろうか?」
「…………」
なぜ私が彼女を庇わなくてはならないの?
そもそも誤解などではないでしょう。あの女は婚約者を持つ貴族男性、それも王族である第三王子のマティアス様の隣に、何も知らない顔で堂々と立ち続けている。貴族の常識では考えられないほどの非常識を平然と行うことを、いったい何処の貴族が〝素晴らしい女性だ〟と思うわけ?
そう頭の中で否定しながらも、可哀想な貴族令嬢を演じる私は「分かりましたわ」と寂しげに微笑むことしか出来なかった。
そんな私に、彼は感謝の言葉を簡単に告げるだけで、婚約者を悲しませていることへの謝罪の言葉など言ってくれはしなかった。
きっと、今はあの女のせいで周りが見えなくなってしまっているのだわ。私が必ず貴方をこちらへ引き戻してみせます。だからどうか……あの女が罪を背負い亡くなった時は、可哀想な私に愛の言葉をお告げ下さいね?
彼女に聞こえるようあからさまに嫌味を言う女生徒達は、もう完全に私の味方と化していた。思惑通り動いてくれる単純な彼らは実に愛おしい。
友人も出来ず、日に日に元気を無くしていくあの女が本当に無様で、私は気分が良かった。
けれど、マティアス様だけは思い通りにいかなかった。彼は、平民に愛する婚約者の心を奪われ悲しみに暮れる私に、普通の顔をして申し入れたのだ。
「エレオノーラ、君から生徒達に誤解だと伝えてはくれないだろうか?」
「…………」
なぜ私が彼女を庇わなくてはならないの?
そもそも誤解などではないでしょう。あの女は婚約者を持つ貴族男性、それも王族である第三王子のマティアス様の隣に、何も知らない顔で堂々と立ち続けている。貴族の常識では考えられないほどの非常識を平然と行うことを、いったい何処の貴族が〝素晴らしい女性だ〟と思うわけ?
そう頭の中で否定しながらも、可哀想な貴族令嬢を演じる私は「分かりましたわ」と寂しげに微笑むことしか出来なかった。
そんな私に、彼は感謝の言葉を簡単に告げるだけで、婚約者を悲しませていることへの謝罪の言葉など言ってくれはしなかった。
きっと、今はあの女のせいで周りが見えなくなってしまっているのだわ。私が必ず貴方をこちらへ引き戻してみせます。だからどうか……あの女が罪を背負い亡くなった時は、可哀想な私に愛の言葉をお告げ下さいね?