嗚呼、愛しの婚約者様
冗談で言ってみた言葉だったけれど、彼女は頬を染める。
「エレオノーラ様にも、そう見えますか……?」
私の気も知らず問いかけ返してくる彼女に、私は気分が悪くなるのを感じる。
あぁ、浅ましい女……そんな訳ないでしょう?
彼の想いは一過性のもの、ただの暇つぶしみたいなものだ。いずれは飽きてなくなる想いに、何を本気になっているのかしら。
所詮は平民の女なのだから、公爵令嬢である私から彼を奪うことすらできないのに。
つくづく嫌味な女……と静かに目の前の平民を睨むけれど、彼女はそんな私の表情を見てはおらず、恥ずかしそうにはにかむ。
「マティアス様はとてもお優しい方で、私の憧れなんです」
彼女は頬を染めたまま、愛おしげに打ち明ける。
貴女程度に憧れられて誰が嬉しいというのよ、と頭の中で毒を吐きながらも、不自然ないよう同調しておく。
「えぇ、分かるわ。私も同じよ」
微笑みを返すと、彼女は途端に瞳を輝かせた。
「私、エレオノーラ様も憧れなんです!」
まっすぐ目を見て言うこの女に、私は柄にもなく驚いてしまう。
「燃えるように美しく揺れる赤い髪、気品に溢れた言葉遣いや所作、そして全てを見透かしたような切れ長の目元は、何処かの国の王女様と見紛うほど! 美しい見た目だけでなく、試験では常に素晴らしい成績を収め、周りからは完璧な才女と言われていて……エレオノーラ様のような方がこの国の王妃になれば、きっと国はもっと豊かになります!」
「エレオノーラ様にも、そう見えますか……?」
私の気も知らず問いかけ返してくる彼女に、私は気分が悪くなるのを感じる。
あぁ、浅ましい女……そんな訳ないでしょう?
彼の想いは一過性のもの、ただの暇つぶしみたいなものだ。いずれは飽きてなくなる想いに、何を本気になっているのかしら。
所詮は平民の女なのだから、公爵令嬢である私から彼を奪うことすらできないのに。
つくづく嫌味な女……と静かに目の前の平民を睨むけれど、彼女はそんな私の表情を見てはおらず、恥ずかしそうにはにかむ。
「マティアス様はとてもお優しい方で、私の憧れなんです」
彼女は頬を染めたまま、愛おしげに打ち明ける。
貴女程度に憧れられて誰が嬉しいというのよ、と頭の中で毒を吐きながらも、不自然ないよう同調しておく。
「えぇ、分かるわ。私も同じよ」
微笑みを返すと、彼女は途端に瞳を輝かせた。
「私、エレオノーラ様も憧れなんです!」
まっすぐ目を見て言うこの女に、私は柄にもなく驚いてしまう。
「燃えるように美しく揺れる赤い髪、気品に溢れた言葉遣いや所作、そして全てを見透かしたような切れ長の目元は、何処かの国の王女様と見紛うほど! 美しい見た目だけでなく、試験では常に素晴らしい成績を収め、周りからは完璧な才女と言われていて……エレオノーラ様のような方がこの国の王妃になれば、きっと国はもっと豊かになります!」