嗚呼、愛しの婚約者様
 ふふ……いい気味だわ。
 これでやっとマティアス様も目を覚ますだろう。私を殺そうとした哀れな平民を憎み、そして後悔しながら私の見舞いにやってくるはずだ。
「本当にすまなかった。これからは君だけを愛すると約束する」
 そんな素敵な言葉を言ってくれるに違いない。
 楽しみにしながら私はひと月程の休学中、愛する婚約者を待ち続けたが、彼は一度も見舞いには訪れなかった。

 休学期間を終え久方振りに学園へ戻ると、またも唐突に全校集会が開かれることになり、私含めた生徒達は全員講堂に集められた。
 恐らくユリアナの処分と、始まったばかりの奨学生制度を撤廃する発表だろう。仕方ないわ、そもそも由緒ある王立学園に平民を入れるべきでは無かったのだから。

 足を引き摺る私を心配する生徒達に支えられながら、講堂に辿り着くと、なぜだか幽閉されているはずのあの女が、マティアス様に寄り添い壇上に立っていた。あの女の腰にある彼の手を見て、嫌な予感が過ぎる。

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