嗚呼、愛しの婚約者様
 ――ラウティオラ王国の王立学園、それは貴族や王族といった高貴な身分の者のみが入学を許される場所。
 私、カラヴァイネン公爵家の長女であるエレオノーラ・カラヴァイネンも、その学園への入学を許された者だ。そして、その婚約者がこの国の第三王子であるマティアス・ラウティオラ殿下である。

 王族はその血筋から、王妃の姿に関わらず皆美しい金色の髪に真紅の瞳を併せ持ち、代々顔立ちまで美しく生まれてくる。マティアス様も例に漏れず、王族らしく素晴らしい見目をしていた。

 幼い頃に、お母様と幼馴染である王妃様からの推薦で婚約をして以来、私は人見知りな彼に愛して貰えるよう常に気を遣ってきた。婚姻後には王族に加わる人間として、相応しい立ち居振る舞いであろうと、努力を怠らなかった。彼の苦手な政務に陰ながら手を貸したり、社交場では彼に代わって多くの貴族と国の未来や領地運営について語り合ってきた。

 王妃様もそんな私の努力を認めて下さり、同学年の私達が二十歳の成人を迎えた時の為、正式に婚姻を結ぶ準備も密かに進めてくださっていた。

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