嗚呼、愛しの婚約者様
「少なくとも、エレオノーラ嬢はこの件に関して、まだ何も証言していない。ユリアナ嬢を捕らえたのは学園の警備であり、エレオノーラ嬢は『ユリアナ嬢に突き飛ばされた』と声を上げた訳でもないのだから、彼女がユリアナ嬢を意図的に貶めようとしたと考えるのは些か早計に思えるが?」
確かに、私は自分で悲劇を訴えては悲恋の乙女らしくはない、と周りから証言を求められても口を噤んでいた。けれどそれは、私が何も言わずとも〝ユリアナが私を階段上から突き飛ばしたのだ〟と周りが勝手に解釈してくれると信じてのものだった。まさか、殿下はわざわざそこまで調べてくれたのだろうか。
明らかに私を庇う殿下の言動に、その場にいた者達が皆、私と殿下を交互に見ていることに気が付いた。
私はなぜ殿下がこのような声を上げたのか理解できず、殿下の言動の意味を必死に考えていた。
時が戻る前から、殿下とはあまり親交がなかった筈だけれど……。そう不思議に思いながら地面から殿下の瞳を覗くと、その赤はまるで真実を見透かしているようだ。
いえ、そんな筈ないわ。
もし真実を見透かしているのならば、彼が私を庇うはずはない。だって私は、マティアス様の仰った通りの罪を犯したのだから。
そして、あの女を殺し損なったことこそ私の最大の過ち……彼の言葉に私を救おうとする意思があるように聞こえるということは、殿下は私が罪を犯したとは微塵も思っておらず、純粋に矛盾点を上げているだけなのだろう。
その証拠に、私の横に真っ直ぐ立つ殿下のお姿は、真実を述べながらも壇上で動揺しているマティアス様とは違い、次期君主たる輝きを放っていた。
その言葉の重みが、格の違いを見せ付けてくる。
確かに、私は自分で悲劇を訴えては悲恋の乙女らしくはない、と周りから証言を求められても口を噤んでいた。けれどそれは、私が何も言わずとも〝ユリアナが私を階段上から突き飛ばしたのだ〟と周りが勝手に解釈してくれると信じてのものだった。まさか、殿下はわざわざそこまで調べてくれたのだろうか。
明らかに私を庇う殿下の言動に、その場にいた者達が皆、私と殿下を交互に見ていることに気が付いた。
私はなぜ殿下がこのような声を上げたのか理解できず、殿下の言動の意味を必死に考えていた。
時が戻る前から、殿下とはあまり親交がなかった筈だけれど……。そう不思議に思いながら地面から殿下の瞳を覗くと、その赤はまるで真実を見透かしているようだ。
いえ、そんな筈ないわ。
もし真実を見透かしているのならば、彼が私を庇うはずはない。だって私は、マティアス様の仰った通りの罪を犯したのだから。
そして、あの女を殺し損なったことこそ私の最大の過ち……彼の言葉に私を救おうとする意思があるように聞こえるということは、殿下は私が罪を犯したとは微塵も思っておらず、純粋に矛盾点を上げているだけなのだろう。
その証拠に、私の横に真っ直ぐ立つ殿下のお姿は、真実を述べながらも壇上で動揺しているマティアス様とは違い、次期君主たる輝きを放っていた。
その言葉の重みが、格の違いを見せ付けてくる。