嗚呼、愛しの婚約者様
もし私がただの弱々しい令嬢で、このような事件も起こさず悲しげに涙を流しているだけだったなら、きっと誰かがマティアス様を問い詰め叱っていたことだろう。
婚約者のいる身でありながら、皆の前で堂々と別の女性に好意を向けるということは、貴族の品位を欠く行為である……。これはこの国の全ての貴族に共通している考え方であり、普通の貴族ならば知られないよう必死に隠れて行う行為だ。だからこそ私は学園の生徒達に同情され、悲恋の乙女として多くの慰めの言葉をかけられてきた。
「お前はただ純粋に、平民ながらも優秀で、健気に努力をするユリアナ嬢を助けてやりたかっただけかもしれない。しかしお前のユリアナ嬢への接し方を見た他の生徒や婚約者は、第三王子のマティアスが婚約者を放っておいて平民の奨学生に好意を寄せているように映っただろう。それがどれだけ生徒達に王国への不信感を抱かせたか、婚約者であるエレオノーラ嬢を悲しませたか、お前には想像もできないのか?」
子供を叱りつけるような殿下の物言いに、マティアス様は何も言えず唇を噛んでいた。
あぁ、そんなに強く噛んでは傷ができてしまうわ……と壇上の彼を見るけれど、目は合わない。
「無愛想な婚約者が別の女性に愛想を振り撒いていることに嫉妬し、その女性のことを調べることもあるだろう。だが、たったそれだけで殺害未遂の罪を着せたと言われては、余りにもエレオノーラ嬢が不憫ではないか」
婚約者のいる身でありながら、皆の前で堂々と別の女性に好意を向けるということは、貴族の品位を欠く行為である……。これはこの国の全ての貴族に共通している考え方であり、普通の貴族ならば知られないよう必死に隠れて行う行為だ。だからこそ私は学園の生徒達に同情され、悲恋の乙女として多くの慰めの言葉をかけられてきた。
「お前はただ純粋に、平民ながらも優秀で、健気に努力をするユリアナ嬢を助けてやりたかっただけかもしれない。しかしお前のユリアナ嬢への接し方を見た他の生徒や婚約者は、第三王子のマティアスが婚約者を放っておいて平民の奨学生に好意を寄せているように映っただろう。それがどれだけ生徒達に王国への不信感を抱かせたか、婚約者であるエレオノーラ嬢を悲しませたか、お前には想像もできないのか?」
子供を叱りつけるような殿下の物言いに、マティアス様は何も言えず唇を噛んでいた。
あぁ、そんなに強く噛んでは傷ができてしまうわ……と壇上の彼を見るけれど、目は合わない。
「無愛想な婚約者が別の女性に愛想を振り撒いていることに嫉妬し、その女性のことを調べることもあるだろう。だが、たったそれだけで殺害未遂の罪を着せたと言われては、余りにもエレオノーラ嬢が不憫ではないか」