嗚呼、愛しの婚約者様
……あぁ、今回も失敗してしまった。もう一度時が戻らないかしら。そうしたら今度こそきっと、あの憎たらしい女を殺してみせるのに。
そうだわ、次はあの女と仲の良いフリをしてマティアス様の気を引いてみましょう。三人で楽しく会話をして過ごせば、突然あの女が死に至っても、彼はあの女と仲良くしていた私を疑わないはず。そうして悲しみに暮れる彼を私が慰めれば、きっと彼は私に本当の愛を捧げてくれる……。
早く時が戻らないかしら、と期待を寄せて大人しく待っていると、如何にも申し訳ないと思っていそうな顔の殿下が、私に告げてくる。
「婚約破棄の件も取り消してやりたいが、弟は仮にも王族という立場……幾ら王太子といえど、私にも勝手なことは言えないんだ。申し訳ないが分かってくれ」
分かっております、と伝えようと私が口を開くと、殿下は微かに漏れ出た私の声に、更に重ねる。
「だが、それでは余りに君が不憫で、この場にいる誰もが納得しないだろう。だから私は、ここに新たな宣言をすると決めた」
唐突に私を抱いた殿下が、立ち上がり群衆を見つめる。
なぜ自身の体をこの国の王太子殿下が抱き上げたのか、と私は理解が追い付かないながらも、落ちないよう咄嗟に殿下の肩に腕を回した。
そんな私を群衆たちへ見せるように、殿下は凛々しい声で高らかに告げる。
「ラウティオラ王国の王太子であるヴィルヘルム・ラウティオラは、エレオノーラ・カラヴァイネン公爵令嬢を我が婚約者として迎えることを、ここに宣言する」
……は?
そうだわ、次はあの女と仲の良いフリをしてマティアス様の気を引いてみましょう。三人で楽しく会話をして過ごせば、突然あの女が死に至っても、彼はあの女と仲良くしていた私を疑わないはず。そうして悲しみに暮れる彼を私が慰めれば、きっと彼は私に本当の愛を捧げてくれる……。
早く時が戻らないかしら、と期待を寄せて大人しく待っていると、如何にも申し訳ないと思っていそうな顔の殿下が、私に告げてくる。
「婚約破棄の件も取り消してやりたいが、弟は仮にも王族という立場……幾ら王太子といえど、私にも勝手なことは言えないんだ。申し訳ないが分かってくれ」
分かっております、と伝えようと私が口を開くと、殿下は微かに漏れ出た私の声に、更に重ねる。
「だが、それでは余りに君が不憫で、この場にいる誰もが納得しないだろう。だから私は、ここに新たな宣言をすると決めた」
唐突に私を抱いた殿下が、立ち上がり群衆を見つめる。
なぜ自身の体をこの国の王太子殿下が抱き上げたのか、と私は理解が追い付かないながらも、落ちないよう咄嗟に殿下の肩に腕を回した。
そんな私を群衆たちへ見せるように、殿下は凛々しい声で高らかに告げる。
「ラウティオラ王国の王太子であるヴィルヘルム・ラウティオラは、エレオノーラ・カラヴァイネン公爵令嬢を我が婚約者として迎えることを、ここに宣言する」
……は?