嗚呼、愛しの婚約者様
 殿下にも、恐らく何か企みがあるのだろう。私を断罪から救うことで何かを得ようとしているのかもしれない。私を脅し、カラヴァイネン公爵家を意のままに操ろうと考えているか、王妃様と仲の良い私に何か頼もうという魂胆か……。
 いずれにしろ、面倒な人間に救われてしまったものだわ。

 私の問い掛けに、殿下は頬笑みを浮かべたまま目を細め、質問の答えとは思えない言葉を切り出した。

「私は、昔から面白いものが好きでね」

 繋がりのない唐突な告白に「……は?」と思わず声を漏らすけれど、殿下は優雅に私の前まで歩いてくる。

「前回の君の行動が面白くて今回も目を付けていたが、懲りずに足りない頭で必死に練った計画を実行する君は、より面白かった」

 つまり興味本位で私を庇ったということかしら。嫌味に感じる殿下の言葉から推察していると、私の目の前で立ち止まった殿下は、私の髪を艶めかしく撫で、一束手に取った。

「感情任せにユリアナ嬢を貶めようと必死になって、次々と失敗する君は私の理想通りの女性だ。生涯を共に過ごすなら、君のような何を仕出かすか分からない頭の悪い女性がいい」
 殿下はそう言うと、私の髪にキスを落とした。

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