転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
「よぉし! ちゃっちゃと片付けようぜ! リューク、頼んだ」

 ポンッとリュークの肩を叩く。

「水の中だからな……自前の剣じゃないし、少し時間はかかるぞ」
「私も微力ながら、お手伝いします〜」

 ルリアンも浄化魔法を使えるからな。

 リュークが幻影クラゲの群れの中にドブンと入り、学園から借りた剣に力を宿す。さすがに自分の剣を錆びるリスクに晒したくはないらしい。

 光を帯びる剣と、ふわふわと漂う幻影クラゲたち――その姿は、うようよしている全体を見なければ幻想的だ。

「……いくぞ」

 水面がわずかに震え、クラゲたちが剣の浄化の光に触れると淡い光の粒となって弾け、静かに消えていく。

「きりがないな。もう少し力を込めるか」

 光が強くなり、まさにお掃除といった具合に隅からクラゲが消えていく。

「クラゲさ〜ん、こっちにもおいで」

 ルリアンが呼びかけると、ふよふよした透明クラゲがプールサイドに座るルリアンの膝の上に乗り上げた。幻影のはずなのに、本当に実体化しているように見える。

「よしよし。まだ遊びたいんだね、楽しいもんね」

 ぴちょぴちょと頭のあたりをなでる仕草をすると、嬉しそうに飛び跳ねて――、ルリアンの温かく灯る淡い光に溶けるように消えた。そして、またもう一匹がルリアンの膝に乗る。

 浄化能力を持つメンバーはルリアンとリュークだけ。どうして王家の血を引いてる俺ができないのかはさておき、浄化したいという強い意思がなければ発動しない。あの思念品たちをリュークだけが一発で消せるのは、それが理由でもある。

 ルリアンは……やさしすぎる。

「だんだんクラゲたちに愛嬌を感じてきたにゃん。オリヴィアにゃん、一緒に入るにゃん」
「……猫なのにプールに入れるのかしら」
「にゃーに不可能はないにゃん。普通の猫じゃないにゃん」
「それは見れば分かるけど……」

 恐る恐るオリヴィアが入った。
 マジか!

 ん?
 トラの猫泳ぎ、可愛いな!?

「疲れたにゃん。抱っこしてにゃん」
「はいはい。あら、水の中だと抱っこが楽ね。最近、トラのせいで二の腕の筋肉がついてきたのよね……」
「にゃーのお陰で強くなって、いいことづくしにゃん」

 オリヴィアがトラのせいでムキムキに!? ベル子が触りたいと言って、オリヴィアの腕をペタペタしている。仲よくなったものだ。皆、隊員部屋に入り浸っているからな。

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