転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
「緊張したわ」
「俺だって。ラビッツ、綺麗すぎるからなー。見惚れて転びそうだったよ」
「もうっ。人前でそーゆーこと言うの、やめて」
「本当のことなんだから、いいだろう」
「よくないから言ってるのに」

 文句を言いながらも口調は柔らかい。だから、調子にのってしまう。照れてるだけなんじゃないかって。そう思う。

「よし、食べるか」
「そうね」

 料理が並ぶテーブルは、見ているだけでも心が踊る。王子だから王宮でいいものは食べていたものの、学園流のこだわりを感じる。なにせ、チーズの種類が多い。なんと十種も並んでいる。全ての料理に色んなチーズをかけたくなる。ゴロゴロお肉にも彩り野菜にもなんにでも合うのがチーズだ。

 ラビッツと感想を交わしながら、料理を味わう。

「料理が美味い世界でよかったよな」
「それはもう本当に、そう思うわ」

 ふと、俺たちの背後に影が差した。

「二人して壮大な感想だな」

 リュークがやれやれといった感じで寄ってきた。今は騎士っぽい服を着ている。ゲームでも見たものの……。

「リューク。お前、どうしてそんな主人公みたいなかっこいい服着てんだよ。ラビッツが見惚れるじゃないか」
「はあ!? 見惚れるわけないだろ。なぁ、ラビッツ」
「そ、そうね! 見惚れるわけないわね! でも……かっこいいわね」
「ほら、見惚れてるじゃないか……」
「だ、だって生リュークの騎士姿よ!?」

 ゲームの再現だからな。近くで見たら、そうなると思った。

「生ってなんだ。生じゃねー俺はどこにいるんだ」
「そ、そうよね〜、私ったらおかしいわよね〜」

 たぶん、前世のノリになってんだろうな。普段もそうなのかな。分からないな。

「そういえば、さっき生徒会長に聞いたんだけどさ」
「へ?」

 そうか、ゲームじゃないから生徒会長とリュークが個人的に話したりもするんだな!

「学園へのご意見箱に二人のファーストダンスを推したの、生徒会長らしいぜ」
「どぇー!?」

 なんで生徒会長が絡んでくるんだ!? 

「食堂でさ、俺たちの会話をすぐ近くで聞いてたらしいんだよ」

 食堂でのリュークと俺の会話???

「ニコラがさ、なかなかラビッツと手を繋ぐ機会すらないとか前にボヤいてただろ?」
「げっ」
「ファーストダンスを踊ってもらえたら盛り上がるし、手は繋げるしでいいことだらけだと思ったとか言ってたぜ」
「そ、そっか〜……い、いやぁ、親切だな〜」
「ニコラ……。あんた、そんなことを食堂でペラペラと……」
「ラビッツもたまには手くらい繋いでやれよ。それじゃーな」

 こ、こんな空気にして逃げるな!?
 冷や汗出るぞ!?

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