転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

28.二人のボトル

 ラビッツと共に校舎の裏側にまわってみる。人気のないところの方が、生徒会長のボトルはない気がしたからだ。せっかくならゲームから外れてみたい。

 ボトルがどこに着地するかは、中身を入れた学生の意識も多少は反映する。誰にも見つけてほしくないと望む者のボトルは植え込みの中にある、といった具合だ。

「お。二つあるけどどうする?」

 人通りの少ないそこで、植え込みの間からチラチラと虹色の光が見えた。

「いいじゃない、それにしましょう」

 ラビッツが片方のボトルを拾う。指先が触れた瞬間、ボトルの虹色の光は静かに消えた。淡い光だけをわずかにまとう。俺も片方を拾い上げ、中を確認する。

 丁寧にたたまれた白いハンカチ一枚とヒントのメモ用紙。

『生徒会長』

 その文字を見てガガーンと崩れ落ちた。

「やっぱり生徒会長じゃないか……。なんでこんなところにボトルがあるんだよ。生徒会長なんて目立つことやってんのにさー。お、ハンカチにはボトルの刺繍がしてあるな。あー、ヘタでごめんってメモに書いてある。なるほど、自信がなかったからボトルがここに来たのか……」

 中に入れる宝物は、さすがに自由にすると金額が高くなる。購買でもこの時期には手作りキットがたくさん販売されていて、いくらまでと金額の上限も決まっている。

「私のはポストカードね。素敵な絵が描いてあるわ。ドーナツ岩があるから学園の湖ね」
「へぇ、綺麗だな」
「で、これ見て」
「おっ」

 ヒントの単語は『副生徒会長』だ。

「仲いいな」
「二つ並んでたものね」

 ゲームでは、リュークのボトルの相手はルートに入っている女の子になる。それ以外のヒロインが誰のボトルを手に取ったのかは分からなかった。

「なんにせよ、リュークとラビッツのルートはなくなったな。よかった……本当によかった」
「え。まだ可能性があると思ってたの?」
「だって怖いじゃんかよ。リュークはほら、カッコいいしさ」
「ん……そうね。カッコいい、わよね。でも、ほら、あんただって、その、あの、カ、カ、カ、ガ、ガンバッテるじゃない? ほら、王子のお仕事とか。えっと、鍛えてもいるみたい、だし?」

 なんでそんなにシドロモドロなんだ? 日頃ツンツンしているから、誰かをフォローするのも苦手なのかもしれない。

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