転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
「まずはどこから行きたい? ラビッツ」
「……任せるわ」
「それならとりあえず、湖かな。森の奥までは飛ばないはずだけど」
「先生が、ボトルの飛んでいる時だけバリアを張ってくれているのよね」
「そうそう。ただ、確かに木々の中に隠れていると見つけにくいだろうしな……」

 あんなところに探しに行く生徒もほとんどいなさそうだ。

「一応、あんたに伝えておくわ」
「へ?」
「私は今、不機嫌なの」
「な、なんで!?」

 俺、なんか失敗したのか!?
 よく見ると視線がジトジトしている!?

「私、ニコラからプレゼントもらったことないんだけど」
「えっ?」
「どうして生徒会長に先を越されないといけないのよ」
「え、あ、え……」

 睨まれている。
 嬉しいけど、返す言葉がない。

「え、えーと……そうだな。じ、実は、ボルトキーホルダーの前に、ビーズアクセサリーのキットを買って作ったんだよ」
「ビーズ?」
「ああ。出来上がってから相手は男というか……ゲームを思い出して生徒会長だと気づいて作り直したんだ」
「そうなの」
「それじゃ駄目かな。いや、駄目だよな。ビーズを一連繋げただけの指輪なんて……いらないよな。ごめん。すぐ思い浮かんだのがそれで。えっと、待ってくれ。今から考える」

 使いまわしをあげるのは酷いよな。あー、こっちの経験はなさすぎるからなぁぁぁ。

「それをちょうだい。ついでに、生徒会長にあげたのよりもっと気持ちのこもったボルトキーホルダーも作って」

 どんなんだ!?
 ボルトだぞ! ネジだぞ!? 気持ちを込めて分かるものなのか!?

「そ、それなら俺も、ラビッツの作ったフェルトの熊が欲しいな」
「可愛いの、好きなの?」
「まぁな」

 あれは一見しただけで和んだ。ここは俺も要求していいところだろう。

「分かったわよ。何か作ってあげる」

 不機嫌だったはずなのに、ラビッツが得意気に微笑んだ。

 前世では持つこともなかった感情がじわじわと湧いてくる。口角が上がってしまう。好きな女の子と手作りのものをプレゼントし合う日がくるなんて。

「恋愛っていいな」
「なによ、それ」

 口ではツンツンしながらも、並んで歩くラビッツと俺の距離は近い。

「好きだよ、ラビッツ」
「……うん」

 恥ずかしそうに顔を背ける彼女が、愛おしくて仕方がない。

 よし、気合を入れてボルト以外の何かを作ろう。生徒会長とお揃いのものなんて、あげてたまるかよ!

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