仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「……うん。あたたかい味がする」


 そのひと言に、誌史の胸がいっぱいになる。
 中央に置いた皿からパンを取ろうとしたときだった。修吾の手も同じタイミングで伸び、ふたりの指先がかすかに触れ合う。


 「――っ」


 心臓が跳ねた。思わずパンを取り落としそうになり、慌てて両手で掴みなおす。


 「ご、ごめんなさい!」
 「いや、俺こそ」


 修吾は困ったように笑いながら、落ち着いた仕草でパンを受け取った。
 その短い触れ合いが、誌史の胸に熱を灯す。耳の奥までじんじん熱くなり、視線を合わせるのが急に恥ずかしい。


 「昨日も今日も、キミに助けられてばかりだな」


 修吾の微笑みに、誌史はさらに頬を熱くする。


 「パリでは私が泊めてもらいましたから……」
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