仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 このくらい当然だ。異国の地で助けられた恩は、この程度ではまだ足りないだろう。


 「誌史……」


 ふと名前を呼ばれ、顔を上げる。


 「一緒に暮らさないか?」


 唖然として彼を見つめた。

 (今、一緒に暮らさないかって言ったの……?)

 聞き間違いだろうか。それとも寝ぼけているのだろうか。


 「俺と暮らそう」


 修吾が繰り返す。聞き間違いでも寝ぼけてもいなかった。


 「……突然どうしたんですか?」
 「婚約者を装うなら、そのほうが信憑性がある」


 淡々とした声色に、誌史は混乱する。
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