仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「そ、そうかもしれませんけど……でも、そんな急に」


 言葉を探していると、修吾がテーブルの上に視線を落とした。


 「それに……この部屋、もうすぐ取り壊されるんだろう?」
 「あっ……」


 誌史は目を丸くする。


 「前にそう言っていたよね」


 そういえば修吾にそんな話をしていた。ラ・ルーチェで食事をして送り届けられたときのことだ。


 「はい。来年には退去しないといけなくて。まだ先ですけど」
 「ならちょうどいい。俺のマンションなら通勤にも便利だし、来客があっても不自然じゃない。一石二鳥だ」


 理屈はきれいに整っている。しかし誌史の胸は、理屈どころではなく激しく波立っていた。


 「修吾さんと一緒に暮らすって……」
< 102 / 289 >

この作品をシェア

pagetop