仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 思わず口にした言葉が、自分の耳にまで熱く響く。


 「もちろん強制するつもりはない。キミの生活もあるし」


 修吾はそうつけ加えながらも、真っすぐに誌史を見つめる。その真摯な眼差しに、心が大きく揺さぶられて止まらない。

 (婚約者のふりを続けるため――それはたしかに理由のひとつ。でも私……)

 胸の奥に芽生えた感情を持て余しながら、誌史は俯いた。

 実家を出たのは自立するため。男の人の部屋に転がり込んだら筋が通らない。婚約者のふりをするためとはいえ修吾と一緒に暮らすなら、誌史ひとりの意見だけでは足りない気がした。


 「それなら両親にも話をしないと……」


 だったらやめておこう、そこまでする必要はない。
 そう言うかと思いきや、修吾は「わかった」とうなずいた。


 「キミのご両親にきちんと話をする。会わせてもらえる?」
 「……本気ですか?」
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