仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 この一週間、仕事から帰宅すると荷造りに時間を割いてきたが、おかげで不要な物の処分ができたのは思いがけない収穫だった。

 修吾はダンボールに荷物を詰めるのを手伝うと言ってくれたが、引っ越し業者の手配をしてくれたり、退去にあたって電気や水道などを止める手配をしてくれたりと、誌史では気の回らないところをやってくれたため遠慮した。私物を見られるのが恥ずかしいというのが一番かもしれない。

 (変なものがあるわけじゃないけどね。下着だとか生理用品だとか、あまり整理ができていない引き出しの中だとか、そういったものはできれば見られたくないし)

 そうしてすべての荷物を運び終え、誌史はようやく深呼吸した。

 修吾の部屋は最上階の五階にある2LDK。玄関のドアを開けると、廊下の先に広々としたリビングがあり解放感は抜群だ。ダークブラウンの床にシックなグレーの壁、落ち着いた間接照明が調和している。

 革張りのソファとガラスのローテーブル、壁際の本棚には洋書や資料が整然と並び、余計なもののない空間に修吾らしい几帳面さが表れていた。
 窓際には観葉植物が置かれ、外の光がやわらかく差し込んでいる。キッチンはオープンカウンター式で、ステンレスの輝きが洗練された印象を与える。
 ホテルのスイートルームのようなのに、どこか温かみがある部屋だ。

 (ここで……修吾さんと暮らすんだ)
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