仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 そうわかっていても鼓動の速さをどうにもできない。寝返りを打つことすら恐ろしくて、身じろぎもせずシーツの中で小さく丸まる。

 誌史が動揺しているうちに、隣から落ち着いた呼吸の音が規則正しく響いてきた。

 (……こんなに意識してるの、私だけ……。修吾さんはなにも思ってないんだ)

 そのギャップがなぜか苦しい。
 瞼をぎゅっと閉じ、布団を顔の半分まで引き上げる。

 (寝よう……寝るしかない……)

 繰り返し自分に言い聞かせるうちに、鼓動はまだ速いままなのに意識はゆるやかに眠りへと引きずられていった。
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