仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです

 瞼に感じる光が、誌史の意識を少しずつ覚醒させていく。

 (……あれ? これ、なんだろう? なんだかあったかい……)

 冷房の効いた部屋で少しひんやりした体が、ほどよく温められるのを感じる。

 (ぬいぐるみなんて持ってた? や、でもその割には硬いような……)

 目覚めそうで目覚めない、あやふやな気持ちのいい感覚に身を委ねていた誌史は、ゆっくり目を開けた。

 目の前に見慣れない布の質感――いや、それはシャツの胸元だった。胸板の硬さとほのかな体温に気づいた瞬間、誌史の意識は一気に冴える。

 (……え!? な、なにこれっ!?)

 気がつけば両腕で修吾の胴をぎゅっと抱きしめ、しかも彼の胸に頬を押しつけて眠っていたのだ。


 「……おはよう、誌史」


 低く穏やかな声が頭上から落ちてくる。慌てて顔を上げると、修吾はすでに目を覚ましていて、微笑ましげにこちらを見下ろしていた。
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