仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
午前八時、身支度を整え、誌史は修吾と並んでマンションを出た。
外は朝の光が街路樹を照らし、緑の葉がキラキラと輝いている。
誌史は白地に細かな花模様のロングワンピースに、薄手のカーディガンを羽織った。朝とはいえ八月の日差しは強いため、つば広の帽子を被っている。
いっぽうの修吾は、淡いグレーのポロシャツにベージュのチノパンというラフな装い。足元はローファーでまとめていて、気取らないのにきちんとした大人の余裕が漂う。
(朝からふたりで歩いてる私たちって、どう見えるんだろう。大人な修吾さんが相手だと兄と妹? カップルには見られないかな……)
そんなことを考えながら歩いていると、不意に手を取られた。
「こうしたほうが自然だね」
ビクッと震えた手をそのまま彼に預ける。修吾とは握手なら一度したが、手を繋ぐのは初めて。ただでさえ暑いのに、緊張で汗をかかないかヒヤヒヤする。
(これは恋人に見せるために必要なこと……そう、必要なの……)
心の中で呪文のように唱えながら歩いていると、大柄な男性が向かいから近づいてくるのが見えた。