仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 緑色のTシャツに白いハーフパンツを穿き、首からタオルをぶら提げている。

 (あれ? あの人……あっ)

 詩史が思い出すのと、相手が口を開くのが同時になる。


 『やぁ、シュウゴじゃないか! おやっ、シフミも一緒かい』


 フランス大使のルモアンヌだ。こんなところで会うとは思いもしなかったが、今こそ婚約者の役割を果たすとき。


 『おはようございます』


 修吾と揃って立ち止まった詩史は、それとなく彼に寄り添いながら頭を下げた。


 『おはよう。いやぁ、今日も暑い暑い。日本の夏は何年経験しても過酷だねぇ』


 ルモアンヌが額に噴き出している汗をタオルで拭う。ウォーキングの途中か、頬は真っ赤だ。
 少し離れたところにスーツ姿のふたりの男性がいる。おそらくSPだろう。
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