仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 『修吾とはこうしてたまに会うが、シフミとは初めてだね』
 『じつは一緒に暮らしはじめたんです』
 『おお、そうかそうか。結婚も秒読みかな?』
 『そうですね。視野には入れています』


 修吾とルモアンヌが楽しそうに話しているが、早口のため詩史は会話についていけずに笑顔を浮かべるだけ。結婚という単語は聞き取れたから、もしかしたらそれについて聞かれているのかもしれない。

 修吾がチラッとだけ詩史を見たのは、答えに窮したせいだろう。しかし婚約を公言した以上、否定はできない。曖昧に濁したか。


 『仲が良くてなによりだ。今度うちにも遊びにくるといい。妻もシフミに会いたがってるから』
 「詩史、大使が、今度うちに遊びにおいでって言ってる」


 修吾がルモアンヌの言葉を通訳する。


 『ありがとうございます。ぜひ』


 かろうじてフランス語で応えると、ルモアンヌは『待ってるよ』と返した。

 ルモアンヌと別れ、再び歩きはじめる。


 「大使はこのあたりにお住まいなんですか?」
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