仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「そこの角を曲がった先にある高層マンションに住んでる」


 修吾によると、妻とふたり暮らしだという。毎朝ウォーキングをしており、たまに会うときがあるらしい。


 「早速、婚約者っぽいところを見せられてよかったです」


 手も繋いでいたし、ばっちりだろう。


 「だね」


 修吾が手をぎゅっと握る。


 「ただ、もう少しべったりしてアピールしたほうがいいかな」
 「べったり、ですか?」
 「こんなふうに」


 そう言って修吾はいきなり詩史を抱き寄せた。


 「ひゃっ」


 弾みで帽子がはらりと落ちる。左半身が密着し、彼の体の逞しい感触に詩史の鼓動が跳ねた。
< 141 / 289 >

この作品をシェア

pagetop