仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「時間があるときは。たまに出勤前に寄るときもある」


 福ちゃんは修吾の生活の一部に溶け込んでいるようだ。


 「おはようございます」


 修吾が扉を押して入ると、カウンターの奥から白いコック帽に白いユニフォームを着た五十代後半くらいの女性が顔を上げた。ふっくらとした頬に愛嬌のある笑顔を浮かべて誌史たちを出迎える。


 「いらっしゃいませ~」


 ひとりで切り盛りしてるのだろうか。厨房にも店内にも、ほかの店員の姿は見えない。
 並んだガラスケースには、焼きたてのパンが所狭しと並んでいた。パン屋ではお馴染みのクロワッサン、カレーパン、ベーグルにバゲット。そして中央には、キラキラと砂糖が輝くメロンパン。


 「ここに来たら、メロンパンは外せない」


 修吾が指を差し、微笑んだ。


 「そうなんですね」
 「大好きなんだ。誌史も食べてみて」
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