仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 そう言いながら修吾が周りを見渡すが、ちょうどチェックインの時間帯と重なり、ロビーは大勢の人がひしめいている。


 「俺の部屋でホテルを探そう」


 (〝俺の部屋〟とは……?)

 詩史は目を瞬かせて彼を見た。


 「ツーリストを助けるのも仕事のうちだ」


 事務的に言い切る声音に、やさしさと同時に線引きの明確さを感じる。


 「行こう」
 「えっ」


 修吾が詩史の背中に手を添え、歩みを促す。


 「あ、あの、どこへ行くんでしょうか」


 トトンと変なリズムで足が出た。彼の手に誘われるままに歩きだす。目線の先にエレベーターがあった。


 「俺が泊まってる部屋」
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