仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 修吾は里依紗に促され、カウンターの一角に腰を下ろした。棚には洋酒のボトルがずらりと並び、琥珀や翠の液体が淡い光を吸い込んでいる。

 落ち着いた音楽と照明、そしてカウンター越しに静かに立つバーテンダー。その静謐さとは裏腹に、修吾の胸の奥では小さな警戒心が芽吹いていた。
 修吾はモスコミュールを、里依紗はジンフィズを注文し、ほどなくしてふたりの前にグラスが置かれる。


 「それで誌史のことで相談とは」


 修吾は早速切りだした。


 「このところ誌史ちゃん、ミスが多いんです。あ、ミスと言っても大事に至るものじゃなくて、私もフォローしているからどうにかなってはいるんですけど」
 「彼女から聞いてます」


 少しふさぎ込んでいたものの、修吾と話をして今は落ち着いているようだが。それがどうかしたのかと彼女の顔を見る。


 「そうでしたか。誌史ちゃんってがんばり屋さんじゃないですか」
 「そうですね。そうそういないタイプだと思います」
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