仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 軽やかに笑みを浮かべながら続ける。


 「神谷さんみたいにきちんとしてる人には……ちょっと合わないかもですね」


 里依紗は誌史のプライベートを軽率なイメージで語り、修吾との価値観の違いを強調してきた。

 (距離感を植えつけるつもりか……?)


 「プライベートだからって弾け過ぎないようにそれとなく注意したんですが、機嫌を損ねちゃってみたいで。もともと私をライバル視しているところもあるんですよね。私はべつに競うつもりはないんですけど、どうも神谷さんの前だとやたら張りきってる気がして」


 里依紗は、修吾に対する誌史の好意を匂わせつつ、自身はそんなつもりはないと大人ぶることで優位性をアピールしはじめた。


 「ほんと純粋でいい子なんですけど、ちょっと空回りしている感じが。神谷さん、彼女のことフォローしてあげるのほんと優しいなって思うんですけど、巻き込まれないように気をつけてくださいね」


 里依紗の声音は親しげだが、その言葉の端々に棘が混じっていた。誌史を貶めつつ、修吾に親しげに忠告して信頼関係を築こうとしているのがみえみえだ。
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