仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 ショーケースには小ぶりなタルトや色とりどりのケーキが並んでいる。修吾は数秒迷った末、モンブランとイチゴタルトを選んだ。誰かの喜ぶ顔を思い浮かべて買物をするのは、ずいぶん久しぶりのことだった。

 マンションに帰り着くと、誌史がリビングから顔をのぞかせた。


 「おかえりなさい。あれ……袋?」
 「少し寄り道した」


 テーブルにケーキの箱を置くと、誌史の瞳がぱっと輝いた。


 「え、これ、食べていいんですか?」
 「そのために買ってきたんだ」
 「わぁ、ありがとうございます」


 誌史の無邪気な笑顔が修吾の心を浄化していく。


 「寄り道してたから遅かったんですね」
 「……ああ」


 里依紗と会っていたことをわざわざ報告する必要はないだろう。なぜ会っていたのか純真な目をして問われたときに、上手にごまかせる自信はない。
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