仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 ようやく絞り出すように言った声は、少しだけ掠れていた。

 誌史はその表情を見つめる。
 夏生の目は伏せられ、口元はわずかに引き結ばれていた。


 「でもさ」


 不意に夏生は顔を上げた。その瞳にはさっきまでの穏やかさとは違う、焦りのようなものが宿って見える。


 「ひと回りも年が違う男が、誌史ちゃんに本気なわけがないだろ」


 誌史は息を呑んだ。夏生の口から飛び出すとは思ってもみない言葉だった。
 真摯な告白とは打って変わり、どこか投げやりな響きが混じっている。


 「……夏生さん?」


 問いかけると、夏生は苦笑した。


 「釣り合わなくて、苦しむことになるぞ。あの人の世界は、俺たちとは違う。誌史ちゃんがどんなに頑張っても追いつけない瞬間が絶対にある」
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