仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
『誌史ちゃん、この前、夏生くんに告白されて喜んでいたのに、神谷さんとこんな場に来るなんてどうしたのかしら……。今は神谷さんの婚約者のふりをしなきゃいけないので……って言ってたから、仕方なくでしょうかね』
誌史が姿を眩ませた隙に、修吾を歓談の輪から引き離してそう呟いたのだ。
誌史が、あの笹本夏生に告白をされた。しかも喜んでいたと。
修吾は無意識にペンを握る指先に力を込めた。紙の端がわずかにしわを帯び、赤ペンの線が不必要に濃くなる。
里依紗の声が頭の中で何度も反響する。信じたくない話だが、あのときの里依紗の表情はどこか演技がかっていたものの嘘に見えなかった。誌史の年齢から考えれば、笹本夏生のほうが恋愛対象になり得る。
あの晩、会場に戻ってきた誌史を見たとき、彼女の表情は曇っていた。スキルアップの場として最適の会食ではあるが、修吾の婚約者として振る舞うことに負担を感じているのではないか。
もし、彼女の心がすでに笹本に揺れているのだとしたら――。
そんな思いが、理性を突き破って胸に広がった。気づけば誌史の腰に手を回し、人前で抱き寄せていた。
唇が触れるほどに顔を近づけて耳元に囁いたのは、外交官としての振る舞いとは程遠い、衝動的に湧いた独占欲だった。
誌史が姿を眩ませた隙に、修吾を歓談の輪から引き離してそう呟いたのだ。
誌史が、あの笹本夏生に告白をされた。しかも喜んでいたと。
修吾は無意識にペンを握る指先に力を込めた。紙の端がわずかにしわを帯び、赤ペンの線が不必要に濃くなる。
里依紗の声が頭の中で何度も反響する。信じたくない話だが、あのときの里依紗の表情はどこか演技がかっていたものの嘘に見えなかった。誌史の年齢から考えれば、笹本夏生のほうが恋愛対象になり得る。
あの晩、会場に戻ってきた誌史を見たとき、彼女の表情は曇っていた。スキルアップの場として最適の会食ではあるが、修吾の婚約者として振る舞うことに負担を感じているのではないか。
もし、彼女の心がすでに笹本に揺れているのだとしたら――。
そんな思いが、理性を突き破って胸に広がった。気づけば誌史の腰に手を回し、人前で抱き寄せていた。
唇が触れるほどに顔を近づけて耳元に囁いたのは、外交官としての振る舞いとは程遠い、衝動的に湧いた独占欲だった。