仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
ここまで誰かに執着するのは初めてかもしれない。
小さな失敗に頬を赤らめ、悔しそうにノートへ赤ペンを走らせる姿。難解な文書に向かい、額に皺を寄せながらも諦めずに食らいつくひたむきさ。
誰に見せるでもない努力を積み重ね、少しずつ扉を開けていく彼女の姿を見ているうちに、修吾はすっかり心を奪われていた。
誌史の表情に嘘はなく、飾り立てた言葉もない。
外交の世界で駆け引きや仮面をかぶった人間とばかり向き合ってきた修吾にとって、その素直さは眩しかった。
疲れたとき、誌史が笑いかけてくれるだけで胸の奥の氷が解けるのを感じる。タクシーの中、指を絡めたときのやわらかな温もりが、恥ずかしそうに唇を重ねた甘い熱が、何日経っても頭を離れない。
彼女の真っすぐさに惹かれ、無垢さに救われ、心の奥深くでたしかに恋をしたのだ。
今こそ、その想いを彼女に伝えよう。
そう固く決意していた矢先だった。スマートフォンが震え、ディスプレイに〝誌史〟の文字が浮かぶ。
「……もしもし?」
電話口の向こうから、今にも泣き出しそうな声が聞こえた。
《修吾さん……お仕事中にごめんなさい。お母さんが……倒れたって。いま病院に運ばれて……》
小さな失敗に頬を赤らめ、悔しそうにノートへ赤ペンを走らせる姿。難解な文書に向かい、額に皺を寄せながらも諦めずに食らいつくひたむきさ。
誰に見せるでもない努力を積み重ね、少しずつ扉を開けていく彼女の姿を見ているうちに、修吾はすっかり心を奪われていた。
誌史の表情に嘘はなく、飾り立てた言葉もない。
外交の世界で駆け引きや仮面をかぶった人間とばかり向き合ってきた修吾にとって、その素直さは眩しかった。
疲れたとき、誌史が笑いかけてくれるだけで胸の奥の氷が解けるのを感じる。タクシーの中、指を絡めたときのやわらかな温もりが、恥ずかしそうに唇を重ねた甘い熱が、何日経っても頭を離れない。
彼女の真っすぐさに惹かれ、無垢さに救われ、心の奥深くでたしかに恋をしたのだ。
今こそ、その想いを彼女に伝えよう。
そう固く決意していた矢先だった。スマートフォンが震え、ディスプレイに〝誌史〟の文字が浮かぶ。
「……もしもし?」
電話口の向こうから、今にも泣き出しそうな声が聞こえた。
《修吾さん……お仕事中にごめんなさい。お母さんが……倒れたって。いま病院に運ばれて……》