仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 京志郎は大きな手で娘の背を支えながら、「すまん、店を片づけてからじゃないと出られなかった」と悔しそうに言った。

 修吾は立ち上がり、深く一礼した。


 「お父様、ご無沙汰しております。神谷です。誌史さんから連絡をもらってすぐに駆けつけました」


 京志郎は一瞬だけ修吾を見やり、短くうなずいた。


 「……来てくれてありがとう。あの子ひとりじゃ心細かっただろう」
 「はい。少しでも力になれればと思って」


 そう答えながら、誌史の横顔に目をやる。父の胸に顔を埋めたままの彼女は、先ほどに比べての力を抜いているように見えた。父親の顔を見て安心したのだろう。

 ふと待合室の自動扉が開き、白衣をまとった長身の医師が姿を現した。


 「鎌形蛍さんのご家族の方はいらっしゃいますか?」


 すぐさま誌史と京志郎が立ち上がる。


 「はい、私が娘です」
 「夫です」
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