仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 外務省から通訳の依頼が入り、里依紗がその仕事を受けたのは誌史も知っている。普段コンビを組むことが多いため、誌史が補佐を任命されるかと思ったがそうではなかった。

 このところ多発していたミスが尾を引いているのかもしれない。重要な仕事を任せられないと、会社が考えている可能性はある。

 この一週間修吾に会えておらず、そのチャンスかもしれないと期待した自分が恥ずかしい。公私の区別もつけられないから仕事でミスをするのだと、さすがに修吾も呆れるだろう。


 「そういえば」


 さらりと切りだす声色は、何気ない雑談のように軽い。


 「神谷さん、言ってたわよ。『そろそろ婚約者のふりも終わりにする頃かな』って」
 「……え?」


 足が止まりそうになるのを、必死に堪える。


 「誌史ちゃんも肩の荷が下りるんじゃない? ほら、いろいろ気を遣って大変だったでしょうし。これでようやく解放されるわね」


 すぐに言葉を返せない。
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