仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「た、ただいま」


 声に少し震えが混じったのを、自分でも感じる。
 おずおずと立ち上がると、修吾は誌史を抱きしめた。


 「おかえり、誌史」


 もう一度そう言った修吾に、誌史も「ただいま」と繰り返す。

 (本当に帰ってきたんだ……修吾さんの元に。もう、偽物の婚約者なんかじゃない)

 そう思った瞬間、胸の奥をきゅっと摘ままれた気がした。


 「お母さん、もう大丈夫なんだな」
 「だいぶ元気になりました。お店にもそろそろ出るみたいです」
 「そうか。それなら安心だ」


 低くやわらかな声が、まるで包み込むように響く。


 「急に帰るなんて言ってごめんなさい」


 修吾にだって都合はあるだろう。ひと言だけのメッセージの返信を読めば、忙しかったのは想像がつく。
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