仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「はい、どうぞ」


 誌史が小皿にスープをよそって差し出すと、修吾は少し身をかがめて味をたしかめた。


 「……うん。優しい味だ。誌史らしい」
 「私らしいって?」
 「真面目で真っすぐで、ちょっと甘い」
 「それは褒めてます?」
 「もちろん。ここなんて、最高に甘い」


 そう言って修吾は不意打ちでキスをした。


 「な、なにするんですか」
 「おかえりのキス」


 視線が交わる。
 誌史は思わず手にしていたおたまを握りしめたまま、目を瞬かせた。
 頬に残る感触が熱を帯びていく。


 「もう……いきなりキスなんて……」


 言葉の途中で顔がみるみる赤く染まっていく。視線を逸らしたくても、修吾の笑顔が真っすぐにそこにある。


 「そんなに照れることか?」
< 246 / 289 >

この作品をシェア

pagetop