仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
一品ずつ堪能していた手を止めて、ふと思う。
(神谷さんがいなかったら、私はどうなっていたんだろう)
見知らぬ土地で、行くあてもなく彷徨う自分を想像して寒気を覚える。平和度指数七十四位という事実が重く圧し掛かってきた。事件に巻き込まれていたかもしれない。
「どうかした?」
「あっ、いえ、その……もっとしっかりしているつもりだったんです。ホテルの予約も取れていないなんて、ほんとどうかしてるなって」
初歩的なミスを犯し、情けない気持ちでいっぱいだ。
修吾はワイングラスを置き、少し身を乗り出すようにして誌史の顔を覗き込んだ。
「旅先でのトラブルなんて、誰にでもあるものだ。むしろ、よくあの状況で冷静だったと思う」
その声には、からかいではなく本気の労いが込められていた。修吾の言葉は慰めというより、前を向かせてくれるような不思議な温度を持っている。
誌史が目を伏せると、修吾はバゲットをちぎって皿の端に置きながら軽く笑った。
気のせいか、修吾の雰囲気がカフェで会ったときよりやわらかい。こうして話しているうちにも、進行形で変わっていく。
(神谷さんがいなかったら、私はどうなっていたんだろう)
見知らぬ土地で、行くあてもなく彷徨う自分を想像して寒気を覚える。平和度指数七十四位という事実が重く圧し掛かってきた。事件に巻き込まれていたかもしれない。
「どうかした?」
「あっ、いえ、その……もっとしっかりしているつもりだったんです。ホテルの予約も取れていないなんて、ほんとどうかしてるなって」
初歩的なミスを犯し、情けない気持ちでいっぱいだ。
修吾はワイングラスを置き、少し身を乗り出すようにして誌史の顔を覗き込んだ。
「旅先でのトラブルなんて、誰にでもあるものだ。むしろ、よくあの状況で冷静だったと思う」
その声には、からかいではなく本気の労いが込められていた。修吾の言葉は慰めというより、前を向かせてくれるような不思議な温度を持っている。
誌史が目を伏せると、修吾はバゲットをちぎって皿の端に置きながら軽く笑った。
気のせいか、修吾の雰囲気がカフェで会ったときよりやわらかい。こうして話しているうちにも、進行形で変わっていく。