仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 いや、違う。変わったのではない。本来の強さを取り戻したのだ。

 修吾は花束を差し出した。


 「本当に、よくやったな」
 「わぁ、ありがとうございます。とっても綺麗。でも私、主役じゃないのに」
 「俺にとっての主役は誌史だ」


 誌史が頬を染めてはにかむ。


 「でも途中、何度もダメかと思いました」
 「いや、どの瞬間も堂々としてた」
 「修吾さんがどこかで見てくれてると思ったら、怖くなくなりました」


 晴れやかな顔をして笑う彼女に愛しさが込み上げる。
 誌史は本当に強くなった。もう誰かに押しつぶされるような存在じゃない。
 自分の力で立ち、世界と向き合っている。


 「よく頑張ったな」


 それだけを言い、修吾はそっと彼女の髪を撫でた。
 やわらかい香りが指先をかすめる。
< 263 / 289 >

この作品をシェア

pagetop