仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 (あれ? 通じない?)


 『カフェオレです。それから、スイーツはありますか?』


 即座に英語に切り替えたものの、今度はしかめ面を向けられた。

 (えっ、どうして? 英語もダメ?)

 普段から仕事で使っている英語まで通じない。


 『あの……カフェオレと、なにかスイーツを……』


 発音が悪いのかと言い直しているうちに、声がどんどん小さくなっていく。
 せっかく立ち寄ったからには本場のスイーツを食べたいと思ったが、メニューはテーブルにない。心細さは募っていくいっぽう。

 店員が困ったような顔をして肩を上げ下げする。なにを言われているのかわからないといったジェスチャーだ。
 恥ずかしさと焦りで涙目になり、視界が滲みかけたそのときだった。


 『彼女にカフェオレをお願いします』


 低く、滑らかな声が横から割って入る。流暢なフランス語だ。
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