仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
本場のフレンチを存分に楽しんだ誌史は、修吾とホテルに戻った。
美味しい料理に舌鼓を打ち、束の間忘れていたが、誌史は依然としてトラブル真っただ中。今夜は修吾が宿泊する部屋に間借りする立場である。
修吾に勧められるまま先にシャワーを済ませた誌史は、袖口がくしゅっとしたオフホワイトのルームウエアに着替えた。この旅のために買ったものだ。
申し訳ないやら緊張するやらで、ソファに座ったり立ち上がったり、先ほどからじっとしていられない。
なにしろ誌史は恋愛経験がなく、男性と同じ部屋で寝泊まりするのは初めてなのだ。
修吾は紳士だし、そもそもひと回りも年下の誌史を〝そういう〟対象として見ていないのはわかっている。下心がないのも知っている。
それでも男性と朝まで一緒という状況は変わらない。
落ち着かない気持ちでソファに座っていると、バスルームの扉を押し開ける音がして、誌史は顔を上げた。髪をタオルでざっと拭いただけの修吾は長袖のTシャツにスウェットというラフな格好で、まだ湯気の余韻をまとっている。
それがやけに艶めかしく見えて、目のやり場に困る。ドキッとして咄嗟に目を逸らした。
「み、水でも飲みますか?」
苦し紛れに口にした途端、今度はハッとする。