仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 誰とでも気さくに接するが、言葉の端々には自信が滲んでいて、周囲の誰もが自然と一目置いていた。


 「夏生は褒め上手ね~。後輩を育成させたら、夏生以上に上手な人はいないでしょうね」


 そう言って肩を軽く叩く仕草にも、彼女らしいおおらかさが感じられる。夏生とは同期入社で、ふたりは普段から仲がいい。とはいっても甘い雰囲気ではなく、よき仲間といったほうがいいかもしれない。


 「里依紗さん、おはようございます」
 「おはよ、誌史ちゃん。今日もがんばりましょうね」
 「はいっ」


 片手で軽く拳を握る里依紗に、力強くうなずく。


 「いいね、そのフレッシュな元気さ。入社二年目でも全然すれてない感じ」
 「すっかり汚れた里依紗とは違うよな」
 「ちょっと、なによそれ。こう見えて私だって、毎日が新鮮なんだけど?」


 夏生に突っ込まれた里依紗が、鋭い目をして彼を睨む。


 「ほらほら、その目とおっかないオーラ。とてもフレッシュには見えない」
 「なんですって?」
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