仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 六十代半ばの年齢ながら背筋は伸び、堂々とした体躯が遠目にも目を引く。身長は一九〇センチ近くあり、肩幅も広く、まるでヨーロッパの古城に立つ肖像画の人物のような風格がある。

 白髪混じりの髪は後ろに流すように整えられ、彫りの深い顔立ちをしている。濃紺のスーツは仕立てがよく、胸元には小さなフランス国旗のピンが光っていた。

 彼が歩くたびに、周囲のスタッフが自然と道を空ける。だがその存在感とは裏腹に声の調子は軽やかで、まるで旧友に話しかけるような親しみがあった。


 『シュウゴ、キミはいつも静かに消えるね。まるで忍者のようだ』


 おどけて笑う彼に、修吾も肩をすくめて応じる。


 『大使、すみません。少し話し込んでしまって』


 そのやりとりに、里依紗と夏生は思わず目を見合わせていた。外交の場で見られることの少ない、砕けたやりとり。だが、そこにこそ信頼の深さが滲んでいた。

 ルモアンヌは誌史たちの存在に気づくと、にこやかな微笑みを向ける。


 『おや、こちらはシュウゴのチームかな? こんにちは、皆さん。今日は素晴らしい会ですね』
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