仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 修吾は一歩横にずれ、誌史のほうへ視線を向ける。その目には静かな確信が宿っていた。


 『こちらの方です、誌史さん。彼女は、私が人生をともにしたいと願った人です』


 周囲の動きが一瞬止まり、ルモアンヌの笑みが驚きに変わる。
 誌史は息を呑み、修吾の横顔を見つめた。

 (今、もしかして私を婚約者として紹介したの……?)
 
 思いもしない展開に口をパクパクとさせる。
 そばにいる夏生も里依紗も目が点だ。


 「誌史さん、悪いけど俺に合わせて婚約者のふりをしてくれ」
 「えっ……」


 修吾は耳元に唇を寄せ、早口で囁いた。
 その仕草ひとつだけで鼓動のリズムが狂うのに、言葉がさらに追い打ちをかける。

 意図はなんとなくわかる。ルモアンヌから持ちかけられている縁談を回避するために、誌史を婚約者に仕立てたいのだろう。

 (でも、だからって神谷さんの婚約者のふりだなんて……!)
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