仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 『はい、本当です』


 一世一代の大芝居。声は震えたが、一歩前に出てルモアンヌに向かって微笑んだ。


 『神谷さんは……大切な人です』


 英語で言った瞬間、隣に立つ修吾がルモアンヌに気づかれないように小さく息をつく。夏生と里依紗は、揃って口に手をあてて大きく目を見開いていた。
 ルモアンヌの表情が緩み、驚きから喜びへと変わっていく。


 『そうか、それは素晴らしい! 娘との結婚を願っていたが仕方ないな。シフミさんとやら、キミは幸運な女性だ。シュウゴなら間違いない。私が太鼓判を押すよ』
 『ルモアンヌ大使にそう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます』


 修吾が控えめに肩を引き寄せたため、誌史の鼓動はさらに乱れる。

 (これは婚約者のふり。本物じゃないんだから、しっかりして)

 慣れない扱いが胸を高鳴らせたため、宥めるのに必死だ。
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