仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 『じゃ、私はほかにも挨拶したい人がいるので失礼するよ。シュウゴ、またな』


 ルモアンヌは修吾の肩をトントンと叩き、誌史ににこやかな笑みを向けてから去っていった。
 止まりかけていた呼吸をゆっくりと再開する。


 「ちょっともうっ、心臓が止まるかと思ったわ」


 ルモアンヌの姿が人の波に消えるのを見届けた里依紗は、驚きと興奮が入り混じった表情をしながら小声で囁いた。


 「ごめんなさい。私もハラハラしました」


 里依紗と夏生に向かって両手を合わせて謝る。未だに心臓は早鐘だ。


 「でも誌史ちゃん、名演技じゃないか。まるで本物みたいだったぞ」


 目を丸くしながらも感心する夏生に笑い返す。


 「そうでしょうか」
 

 そう見えたのなら役目は十分に果たせただろう。ひとまず窮地を脱し、詩史が胸を撫で下ろしたそのとき、修吾が衝撃的な言葉を発した。
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